風の吹く島 どぅなん、与那国のうた

与那国に伝わる民謡、伝承歌を数多く習得し、持ち味のダイナミックでおおらかな歌唱で、与那国内外でライブ
を行う。また、島で豊富にとれるクバ(枇榔)を使い、民具を製作しながら、ワークショップも開催している。
与那国で祭りや行事などに唄・三線演奏者として参加しながら、与那国の音楽と伝承文化を全国に伝える、若き
ホープである。

■アルバム内容
与那国の唄の成り立ちは、農耕に於ける祭事などで述べられた祝いの言葉や、祈願の言葉に辿り着きます。

種蒔きから収穫までに行われる年間行事を通して、与那国語による祝詞やタカビ(崇べ)言葉、ドゥングドゥ(読み言)などで、神との交流を試み、また神への祈りを捧げました。

これが与那国に於ける「うた」の始まりであろうと言われています。従って元々の唄はアカペラになります。
その後、沖縄本島から八重山を通じて三線が入って来ると、本島や八重山諸島の民謡の影響を受けながらも、与那国語の歌詞やメロディーを持つ民謡が生まれました。
また、メロディーは本島や八重山の民謡を踏襲しながらも、与那国独自の歌詞が付いた曲も生まれました。
さらにアルバム収録曲の「六調」や「与那国ストトン節」など、歌詞の一部が与那国の世情に即して、書き換えられたものも生まれました。

与那国の唄の背景には、厳しい歴史背景(特に琉球王朝と薩摩からの税金の厳しい取り立て)や、そこから派生する経済的困窮と、
そして長く過酷な政治的抑圧の中で、それに堪え忍びながらも、少しでも明るく、楽しく日々を暮らそうという思いがあります。
また、台湾との距離も近く、古くからお互いの交流があり、本アルバム収録の「与那国ストトン節」の歌詞にはそれが反映されています。

さらに、本アルバムには与那国で生まれたわらべ唄も収録されていますが、与那国独自のわらべ唄は20曲を超えると言われています。

数多い唄の中でも、特にアカペラの唄は与那国独自のものであり、現在も日常的に歌われています。

沖縄本島、八重山の民謡とは一味違う、与那国で生まれた伝承歌、民謡、歌謡など多彩なうたを収録したのが本アルバムであり、まだまだ知られざるその魅力を伝える一枚です。

28.95㎢の面積の島から、これだけ多彩な唄が生まれて来たこと、そして現在もそれらの唄が歌われていることは、まさに特筆に値すべきことです。

■録音メンバー
唄・三線・囃子:與那覇 有羽
唄・囃子・島太鼓:與那覇 桂子
箏・唄・囃子=太田 いずみ、笛、囃子:山口和昭
なお、太田いずみの旧姓は與那覇で、與那覇有羽の妹になります。

■録音データ
録音:サードガレージスタジオ(沖縄市)
ミックス&マスタリング:スタジオアトリオ(東京)

■収録曲について
1 どぅなんとぅばるま
與那覇 有羽と桂子夫婦によって歌われるアカペラ曲。『厳しい島の生活の中、父母の愛を思わずにはい
られません』 と歌われています。
2 猫小節
ユーモラスな雰囲気の唄ですが、歌詞は、女性を猫に喩え、『青年達の目をくらます 大した猫』 と歌
われています。
3 どぅんた(今日が日節~すゆりでぃ節)
「どぅんた」とは、八重山で唄を意味する「ゆんた」から来ていますが、与那国では「踊りうた」という
意味もあり、祭りの際に歌われます。とても勇壮な響きの唄です。

4 ちぃでぃん口説~しゅうら節
豊年満作を祝い、さらに永遠の夫婦の契りを祈願する「ちぃでぃん口説」。今日の日を大切にし、黄金日
が来る事を願う「しゅうら節」。2曲共、明日への希望を歌った唄です。
5 でぃらぶでぃ節
「でぃら」とは人名、「ぶでぃ」とは敬語となります。イラブチャーなど魚の名称も出てくる、大漁を祝
う唄です。
6 とぅぐる岳節
與那覇 有羽の妹、いずみの見事は歌唱によるアカペラ曲。与那国の名勝、どぅぐる岳をモチーフにした
曲です。
7 いとぅぬぶでぃ節
大変美しい娘が、島役人や村長から気に入られてしまった。さてその運命やいかに?
8 六調節
大変ダイナミックな歌唱が聴きどころのこの唄は、明治期以降、九州、奄美地方の六調節が、八重山を通
して与那国に伝わり、独自の歌詞が一部付きました。
9 与那国のわらべ唄(中山ぬ神仏節~どぅなんだぎ~北ぬさんか ゚いてぃ節)
桂子といずみ、2人のアカペラ曲。冒頭の曲は、『中山(地名)の神仏さま お父さん お母さんが 畑
から帰るまで 雨は降らさないでください お願い お願い』 と歌われています。
10 旅果報節(旅御前風)
『かりゆし(めでたい)の船に 幸せを乗せて 旅の行き戻りは 絹布のような穏やかな水平線から』
と歌われた、実り多き航海を祈願する唄です。
11 嫁入唄
いずみの歌唱によるアカペラ曲です。嫁ぐ娘に贈る唄です。
12 与那国小唄
1930年代に作られた与那国賛歌として、広く知られている曲です。
13 若船でぃらば
有羽と桂子夫婦の歌唱によるアカペラ曲です。新しく建造された船を愛でる唄です。
14 ゆさぐい節
『旦那への返答は心配するなクヤマニ(女性の名前) 母が立派に考えてあげましょう』 と歌われる、
母が娘を思う唄です。
15 来夏節~うぶだみてぃ節
来夏の豊年を祈願する「来夏節」と、その唄のちらし(散らし)に当たる「うぶだみてぃ節」のメドレー
です。
16 どぅなんすんかに
『与那国の情け 交わす言葉の情け 命の続く限りお付き合いしましょう』 と歌われた唄です。
17 与那国ストトン節
大正末期の流行歌「ストトン節」が与那国にも伝わり、一部オリジナルの歌詞を残しながらも、与那国独
自の歌詞で歌われています。
18 道唄
『今年の年始め 酉の年始め 迎える年が弥勒世(弥勒菩薩が未来に現れて、人々を救う世)になるよう
に』 と歌われた未来に希望を託す唄です。陶芸家の山口和昭の笛の独奏。笛は八重山及び与那国の民謡でよく使
われます。
20 ありし波多浜
与那国にある、なんた浜を偲ぶうたです。メロディーは沖縄民謡の「かいさーれー」が元になっていま
す。
21 みらぬ唄
有羽の唄によるアカペラ曲です。『見ないならそれでよいが 見れば抱きたくなる 抱けば恋しくなり、
募る慕情でたまらなくなる』 と歌われる、切ない恋心を歌った唄です。

作詞・作曲:8曲目は曲は九州・奄美民謡、歌詞は一部与那国で改変されました。12曲目は作詞は与那国女子青
年団&宮良泰平、曲は与那国民謡。17曲目は一部歌詞が与那国で改変されました。原曲の作詞と作曲は添田さつ
き。20曲目は詩:宮良保全、曲:沖縄民謡。あとの曲は全て与那国民謡となります。

販売価格 3,080円(内税)
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